今回は、薬剤師が関わった調剤過誤について紹介します。
突然ですが・・・
最近たるんでませんか?
社内ルールを守らなかったりしてませんか?
薬剤師の仕事に慣れてくると、少し気が緩むことがあると思います。
しかし、そんな油断が重大な事故を引き起こすことになりかねないのです。
新人薬剤師の頃はもっと、気を引き締めてビクビクしながら過ごしていたのではないでしょうか?
たまには、その気持ちを思い出しましょう。
そのために、患者さんが死亡に至った調剤過誤をいくつかまとめました。これを読んで、初心を忘れずに仕事に励んでください。
ウブレチドとマグミットのミス
▼ウブレチド事件の概要について
薬局における調剤事故の発生について(注意喚起)-日本薬剤師会
ミスの内容については、一包化の中身が間違っていたとのこと。マグミットが正しいところ、誤ってウブレチドを調剤してしまったようです。
そして、鑑査時に調剤ミスに気づかなかった原因としては、患者さんを待たせたくなくてしっかりと鑑査していなかったと話があります。
また、そもそもなんでマグミットではなく、ウブレチドを一包化することになったかというと、分包機の設定ミスだとか。
一包化の中身を鑑査してないというのは、ぼくとしてはありえない話ですが、気になるのは分包機のことですね。
ミスの内容からして、全自動分包機での話かと思います。
全自動分包機とは?って方は下記を見るとイメージがわくはずです。
分包機にカセットが設置されていて、そのカセットに薬をあらかじめ充填しておきます。そして、カセットの番号をパソコンに登録することで、パソコンで入力したものがカセットから調剤されることになります。
ウブレチド事件で言うと、マグミットは253番、ウブレチドは25番とパソコンに登録されていて、実際のカセットにも253番のカセットにはマグミット、25番のカセットにはウブレチドが入っていたようです。
ところが、事件当時には、マグミットがもともと253番であったのに、何かの設定ミスで25番に変わっていました。そのため、パソコンでマグミットを一包化するよう入力しても、調剤されてくるのは25番に入っていたウブレチドだったんだと思います。
このミスへの対策として、一包化のたびに、登録する番号のチェックをするなんてことは、現実的ではありません。通常業務に支障が出るでしょう。一包化の中身を監査するという当たり前のことをするとともに、パソコンに薬を登録する際にはダブルチェックをするなどが必要になると思います。
また、パソコンと登録ミスへの対策とは異なりますが、ぼくが以前勤めていた会社では、カセットに新しく薬を充填する際に、ダブルチェックをしていました。カセットの中身が間違っていることのないようにする対策も必要だと考えます。
ワーファリンの規格ミス
▼ワーファリン事件の概要について
こちらは、ワーファリンの0.5mgを調剤するところ、5mgで調剤して死亡させてしまった過誤。記事を読んだところ、これも一包化でのミスのようです。自動分包機だったかは定かではありません。
処方箋にどのように記載されていて、どの段階でミスを起こしたのかはわかりませんが、ワーファリンの規格ミスは自分もいつ起こすかわからないと気を引き締める事件です。
0.5mgをピッキングしようと頭の中で考えつつも、5mgを拾っていたのかもしれません。あってはならないのですが、こういう間違いは稀にあります。
このミスへの対策はなかなか難しいかもしれませんが、やはり処方箋の記載内容と実際の薬の薬品名、規格を照らし合わせるという基本がとても大事だと思います。
あとは、例えばワーファリンをピッキングする際には、鑑査者に分かる形で刻印を記載するとか。または、仮にミスが起こってもリスクが低い段階で気づけるように、ワーファリンは帳簿でチェックや、毎日棚卸しをするとかでしょうか。
セレンの調剤ミス
▼セレンの事件の概要について
これは、注射薬の調剤時におけるミスとのことです。僕自身は調剤薬局でしか働いたことないので、病院でも注射剤の調整方法がわかりません。そのため、なんとも言えませんが、とても残念な事故です。
死亡事故への対策
久しぶりに過誤を聞いた気分はどうでしょう?
とても気が引き締まったのではないでしょうか?
仕事の慣れてくると、どうしても気が緩んでしまうことがあると思います。もちろん、過誤は『個人の気の緩み』という理由で済ませてよい内容ではありません。
しかし、薬局によって設備は全然違います。
大手チェーンであれば、過誤防止のためにさまざまなルール、機器等があるかもしれん。一方の規模の小さい薬局では、システムが守ってくれることはあまりないでしょう。
自分で気をつけるしかないのです。過誤で辛い想いをするのは、患者さんだけではありません。ミスをした自分も精神的にやられてしまうこともあります。これからは、毎日の業務を気を引き締めておこなってください。(自戒をこめて)
もしかしたら、忙しすぎてルールどころではないとか、過誤への意識が低すぎるとかいった薬局で働いていている人もいるかもしれません。そのような場合には、自分を守るためにも、転職を選択肢の1つに入れたほうがいいです。