年末年始の旅の最後に訪れた街、ブダペスト。
午後は、楽しみにしていたフォアグラとマンガリッツァ豚のランチからスタート。ちょっとした注文ミスもあったけれど、感動のおいしさが待っていた。
そのあとはワインや絵本などのお土産を探して街を歩き、帰国前の締めくくりには、ライトアップされた国会議事堂と鎖橋を見納めに。
名残惜しさと達成感をかみしめながら、旅の締めくくりへと向かった。
小さなトラブルと贅沢すぎるランチ
ランチは、楽しみにしていたフォアグラとマンガリッツァ豚が食べられる「Király100 Gastro Corner」へ。

お店にはオープン直後に訪問。メニューを見てもよくわからなかったので、フォアグラの写真をスマホで見せて注文したのだけど、結果としてちょっとしたトラブルが発生することに。
店内はまだクリスマス仕様で、オーナメントなどが飾られていてキレイでかわいらしい雰囲気。

2階のトイレに行くついでに、そんな装飾を見渡しながら店内を歩き、料理が来るのを楽しみに待っていた。

そして、お待ちかねの料理が到着。グヤーシュ(ハンガリー風スープ)に、マンガリッツァ豚のソテー、そして――フォアグラ。

……フォアグラ?
どう見てもフォアグラには見えない。でも、写真を見せて注文したから、これがフォアグラなんだろうか……?と自分に言い聞かせつつ、料理の写真を撮り、いざ食べようとしたそのとき。
やっぱり、これはフォアグラじゃない気がする。そう思い直して、近くを通った店員さんに「これはフォアグラ?」と聞いてみた。すると、「違うよ」とあっさり。
フォアグラを注文したつもりだったと伝えると、その店員さんは一度奥へ戻り、注文を取ってくれた別のスタッフに何やら確認している様子。
しばらくして再び席に戻ってきて、「これはフォアグラじゃなくて鴨のソテーだよ。あなたは鴨を頼んでいたよ?」みたいな説明をされた。でも、こちらも「フォアグラのつもりで頼んだ」と譲らなかった。
最悪、2品分の料金を払えばいいやと思っていたら、なんと鴨のお皿を下げてくれて、しばらくしてからフォアグラを持ってきてくれた……!

実は注文時に少し不安な気はしていた。写真を見せてオーダーしたときに「Duck?(=鴨)」と聞かれて、「フォアグラのことを言ってるのかな?」と思い、「イエス」と答えてしまっていた。
たぶん、向こうは「鴨ソテーでいい?」と確認していたのだろう。こちらはこちらで、「フォアグラって鴨の肝臓だから、Duckって言ってるのかも」と思い込んでいた。
そんなトラブルはありつつも、無事に念願の料理を食べることができた。
フォアグラは、表面にしっかり焼き目がついていて、中はとろっとろ。日本でも食べたことはあるけれど、こんなに大きなフォアグラを、それも3切れも一度に食べるなんて初めてで、とても贅沢な気持ちになった。
フォアグラももちろんおいしかったのだけど、何より驚かされたのはマンガリッツァ豚。これは本当に、今までに食べたことのないタイプのお肉だった。
厚くカットされているのに、ナイフですっと切れるほど柔らかい。奥さんが「めちゃくちゃおいしいベーコン」と表現していたけれど、それがまさにぴったり。確かにベーコンに近い食感。
でも、ベーコンのようなスモークや加工肉っぽい風味はなくて、豚肉そのもののうまみがしっかり感じられる。とにかく「めちゃくちゃ質の良い豚肉を食べている」としか表現できないくらい、感動的においしかった。
スープについては、正直どんな味だったか具体的には覚えていない。でも、たしか「おいしい」とは思った記憶がある。見た目はミネストローネっぽいけれど、味はまったく別物だった気がする。
全体的にボリュームもしっかりあって、お腹も心も満たされた。食後には、トカイワインの試飲もサービスしてくれた。甘みが強くてとても飲みやすく、これまたおいしい。
しかも、あれこれあったにも関わらず、お会計は3品分だけで済ませてくれて、気持ちのいい対応だった。
ちなみに、これだけ食べて11,345円。後日クレジットカードの明細を見たとき、その安さにびっくりした。
マグネットとワインと絵本と──ブダペストのお土産
ランチのあとは、お土産探しへ。
旅行前にチェックしておいたお店にまず向かってみたものの、思ったほど惹かれるものがなく、結局は近くのお土産屋さんをいくつか見て回ることにした。
奥さんがお土産を物色しているあいだ、自分はというと、どうやら体力の限界がきていたらしく……立ったまま寝落ちして、膝がガクンとなって起きるという事件が発生(笑)。お土産屋さんの棚に倒れこまなくて本当に良かったと思った。
そんなハプニングもありつつ、マグネットをひとつ購入。
あとは、ずっと欲しかったトカイワインを探す。できれば持ち帰りやすい小さめサイズがよかったのだけど、なかなか見つからず。しばらく街を歩いていると、偶然いい感じのお店を発見した。たしか、店名は「World Of Souvenir」だったと思う。
広くて清潔感のある店内には、雑貨だけでなくお酒も豊富に揃っていて、トカイワインも種類がたくさんあった。
どれにするかしばらく悩んだ挙句、少し高かった気もするけど、気に入ったものを選ぶことができた。
ついでに、ハンガリーのハーブリキュール「ウニクム」のミニサイズもゲット。お酒は好きだけどたくさん飲むわけではないので、こういうミニサイズはありがたいし、かわいい。
最後に、奥さんが旅行先でいつも集めている“現地語で書かれた絵本”を買いに本屋さんへ。
奥さんが本を選んでいるあいだ、店内のベンチで座って待っていたのだが……これが思いのほかちょうどいい座り心地で、そのまま爆睡(笑)。短い休憩だったけれど、ここでけっこう回復できた気がする。
無事に奥さんのお気に入りの絵本も見つかって、お買い物は終了。
ライトアップの国会議事堂と、旅の終わりの景色
帰りの時間が迫っていたが、朝には見られなかった“ライトアップされた国会議事堂”を見るため、再びビューポイントへ向かうことにした。
そういえば、ランチを食べたレストラン以来トイレに行っておらず、そろそろ限界だった。ちょうどビュースポット近くの駅でトイレを発見……したものの、現金が必要なタイプ。
ハンガリーの現地通貨は用意しておらず焦ったが、ユーロが使えたのでなんとか無事に利用できた。準備万端。あとは夜景を待つのみ。
まだ夕方で、空港へ向かう時間までにちゃんとライトアップされるのか少し不安を感じつつ、ビュースポットで国会議事堂を眺めながら待っていた。
すると――その瞬間が訪れた。
じわじわと、国会議事堂に光が灯っていく……!
パッと一斉に点くのではなく、少しずつ、じんわりと建物に光が灯っていく。その美しい様子を残すために、iPhoneで動画を回してみたのだが、なんと5分以上撮っていた。じっくり、時間をかけてライトアップされていく様子を、かじかむ手を我慢しながら見守った。
青く沈んでいく空、同じく青く静かなドナウ川、その中に金色に浮かび上がる国会議事堂――。その光景は、本当に息をのむほどきれいだった。

しばらくその美しさを堪能したあとは、次の目的地・鎖橋へ。空港に向かわなければならないギリギリの時間だったけど、せっかくなので鎖橋もライトアップされた様子を見ておきたかった。
無事に到着した鎖橋は、銀色に輝いていて、国会議事堂とはまた違った美しさがあった。

とはいえ、ゆっくり眺めている時間はなかったので、さくっと見て、すぐに荷物を預けていた場所へ向かう。
トラムの車内から見た国会議事堂が、なぜかとても印象に残っている。遠くから見たときとはまた違う美しさがあって、「ああ、本当にこの旅が終わるんだな」と感じた瞬間だった。無事に旅を終えたという安心感と、どこか達成感のようなものもあった。

駅に着いたあとは早足で荷物預け所へ行き、荷物を回収。さらに急ぎ足で電車に乗って、無事に空港へ到着。帰国便にもちゃんと間に合った。
帰りの飛行機は、安定のロットポーランド。快適な座席と、おいしい機内食を楽しみながら、無事に東京へと帰ってきた。